機能性材料
全固体リチウムイオン電池

将来のゲームチェンジャーになり得る次世代電池の大本命
全固体リチウムイオン電池は、構成するすべての材料に固体物質を使用した電池です。
当社は、機械加工技術を活用した独自の製造方法によりAS-LiB®(All-Solid-state Lithium-ion Battery)を開発しました。
この製造方法により、従来の全固体リチウムイオン電池の充放電時に必要であった機械的加圧が不要になりました。
構造・原理

- 全固体リチウムイオン電池は、正極層、固体電解質層、負極層を積層させた構造です。
- 固体電解質はリチウムイオンのみを移動させ、正極と負極との接触を防ぐセパレータの役割も備えています。
- 充電方向に負荷をかけると、正極が持つリチウムイオンが固体電解質層を経由して負極へと拡散し、放電時にはリチウムイオンが逆方向へ移動します。
特長
- 1高い安全性
- 液体の材料を使用していないため、液漏れの心配がありません。
- 固体電解質が難燃性のため発熱などによる可燃性ガスの発生がありません。
- 開発した従来の電解液系リチウムイオン電池が発火に至る可能性がある条件でも、当社のAS-LiB®は発火、発煙、破裂が起こらず、高い安全性が実証されました。
- 2広い使用温度範囲
- 固体電解質を用いるため、低温で凝固することがありません。このため、-40℃という低温環境下でも動作可能です。
- 高温でも固体電解質が分解しないため、通常の電解液系リチウムイオン電池が動作困難な高温環境下でも充放電が可能です。
当社では、+120℃という環境下でも安定動作が可能な電池を開発しました。
- 3優れた耐環境性
- 固体電解質を用いるため、また独自の製造方法により、揮発成分を極小化した電池構成を実現でき、真空下でも大きく膨張することがありません。
- 当社では独自の製造技術を適用し、1.0×10-2 Paという環境下でも安定動作が可能な電池を開発しました。
用途

- 高真空かつ高温低温になる航空宇宙機器用途
- 特殊な環境で安全に電池を使用することが求められる工場、インフラ、産業機械用途
- 高温殺菌を要する医療機器用途
JAXAとの取り組み
宇宙での全固体リチウムイオン電池AS-LiB®の実用化に向けた実証実験の実施を決定
~2021年秋以降に「きぼう」日本実験棟に向けて打ち上げ予定~

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と当社は、世界で初めての宇宙での全固体リチウムイオン電池の実用化に向けた実証実験に関する共同研究契約を締結しました。
実証実験では、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに設置される中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)上の船外小型ペイロード支援装置(SPySE)にAS-LiB®を設置し、過酷な環境でAS-LiB®が稼働できるかを確認します。
今後、AS-LiB®の宇宙実証に必要となる装置の開発、及びその検証試験等を行い、2021年秋以降にISSに向けて打ち上げ、2021年末より約半年間、実証実験を行う予定です。
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