Hitz × MIZUNO
特別対談
Hitz Value を見直す!
職員の働き甲斐の向上
社員の健康が
企業価値向上のカギに。
企業にとって、職員の健康保持・増進のための取り組みは、将来の収益性などを高める投資であるとの考えの下、「健康」を経営的視点から考え戦略的に実行するようになってきました。この取り組みを「健康経営」といいます。健康経営が実践されると、役職員はいきいきと働くことができるようになり、活力向上や生産性向上など組織は活性化し、結果的に会社の業績向上や企業価値向上につながっていきます。
一方、「健康」への取り組みは実施する施策の内容と、それらに参加する役職員の置かれた状況や臨む姿勢などによって成功が左右され、一筋縄ではいかないのが現状です。
各社が苦戦を重ねるなか、当社グループと同じく大阪・南港に本社を置き、着々と成果を積み上げてきたミズノ株式会社様に成功のヒントをお聞きしました。
Hitz
業務管理本部 人事部長
時野谷 一明さん

1991年有明工場総務部人事課入社。1995 年以降、プレス営業部、(株)エイチアンドエフ、秘書室、監査役事務局、総務・人事部に異動。2014年に(株)エイチアンドエフに出向し、13年ぶりに輸出営業を行う。2021年4月から現職。

MIZUNO
グローバル人事総務部 人事課
芦野 晃央さん

2009年ミズノ(株)へ入社。スポーツアパレル営業部に配属の後、2012年に人事総務部へ異動。2016年から自社の健康経営推進に従事。2019年に東京商工会議所から「健康経営エキスパートアドバイザー」の認定を受け、活動中。

認定制度の申請が契機に。
健康経営に全社で取り組む

時野谷
芦野さんは健康経営エキスパートアドバイザー※1の資格をお持ちとお聞きしていますが。
芦野
はい。資格があることと、健康経営の初期から携わっていることから、弊社の執行役員に今回の対談の大役を仰せ付かりました。
今日はよろしくお願いします。
時野谷
こちらこそお願いします。早速ですが、ミズノさんが健康経営に取り組み始めたきっかけについてお聞かせください。
芦野
それまでは社員の健康管理という側面から、人事・総務がタスクチームを組んで、喫煙率や生活習慣病の低減などの施策に取り組んできました。ところが、なかなか改善が進まず、対策を考えていた頃に健康経営が注目され始めました。折しも、2016年には経済産業省の「健康経営優良法人」の認定制度が始まり、当社の健康経営レベルを知るために申請。自社の取り組みが不足していると痛感したことで、本格始動しました。最初に、社長の水野が健康経営に全社で取り組み、社員が公私共にイキイキと過ごせるよう会社としてサポートすることを宣言しました。以来、社員の捉え方が少しずつ変わってきたように思います。健康経営というスキームに基づいて社内で施策を再構築し、社員の健康状態の改善を図りました。
時野谷
当社は2020年に健康経営宣言を社長の三野が発信しました。それ以前から喫煙やストレスチェックの対策を講じるものの、効果が表れていないのが実情で、現在、❶働き方改革❷生活習慣病の予防 ❸メンタルヘルス対策❹禁煙の4本柱で健康経営の推進をしています。
芦野
我々の課題も同様の切り口です。❶メタボ対策を含む生活習慣病予備軍の低減 ❷がんの予防・早期発見 ❸メンタルヘルス対策 ❹喫煙比率の低減の4つを柱としています。また、ミズノはスポーツ用品メーカーなので、運動やスポーツを奨励しながら、健康課題の改善に努めています。
岸田総理が掲げる「新しい資本主義」の考え方の中にも「健康経営」「健康投資」という考えが盛り込まれています。これからより一層、企業が健康に対してどれだけの投資をしているのかが、学生や転職者、あるいは金融機関や他社からの評価の指標になると考えています。今後、「健康に投資をしている」ということが企業の必要最低ラインになってくるかもしれないと思っています。
  1. ※1東京商工会議所が行う認定資格で健康経営アドバイザーの上位資格。健康経営に取り組む企業に対し、課題の抽出・改善提案・計画策定などの実践的な支援を行う専門家とされる。

全社員が楽しんで健康になる
イベント・施策を実施

時野谷
次に、健康経営の社内での推進体制や取り組みについておうかがいします。
芦野
総責任者は社長の水野です。実行部隊は人事総務部内の健康管理担当チームを主体に、労働組合、健保、そして健康に特化した商品やプログラムの提案、マーケティングを行うライフ&ヘルス事業部が管理チームを組んで活動しています。社長宣言後、健康に関心のある社員の健康イベント企画への参加率は増加しましたが、関心のない社員の参加は振るわず。そこで、各部署に1人、健康経営の啓蒙役「健康スポーツリーダー」を選任し、企画の周知を図ると、参加者は倍増しました。
時野谷
部署にリーダーを置くのはいいですね。
会社の発信だけだと一方的になりがちなので。
芦野
周りを引っ張って、後押ししてくれる存在がいると全然違います。今後はリーダーを通じて社員からの意見を企画に反映したいです。
時野谷
健康イベントはどんな企画を?
芦野
以前は部署対抗の駅伝大会やソフトボール大会などがありました。ただ、企画が競技寄りで、地方の営業所に所属する社員が参加しづらいという課題があり、新型コロナウイルス感染症による新しい生活様式に基づく新しい取り組みを模索していました。そこで、アプリ内でチームの平均歩数を部署対抗で競うウォーキングイベントを立ち上げたところ、コロナ禍の運動不足とコミュニケーション不足を解決できました。今度開催する第4回目は、入社年度別のチーム分けにする予定。
多様なチーム分けでマンネリを防ぐ工夫をしています。企画は全社員が楽しめることが最も重要です。
時野谷
健康を考えると運動は不可欠ですよね。
芦野
スポーツ用品メーカーですし、余計にそう思います。運動は、気晴らしになってメンタルヘルスに良い影響を与えますし、LDLコレステロールなどを下げる効果もあり、心身共に有益です。
アプリの導入により「あのめっちゃ歩いているニックネームXXさんは一体誰なんだ!」のようなコミュニケーションが生まれ、仲間意識が醸成されエンゲージメント※2も高まると考えています。
  1. ※2会社に信頼を持ち、「貢献したい」と思う従業員の自発的な意欲のこと。「愛社精神」や「愛着心」とも訳される。

失う前に気付いてほしい、
「健康」の意味

時野谷
我々の一番大きな課題が喫煙率の低減です。当社の喫煙率は全社で22%なのですが、18%以下を目指して、2022年の1月から本社の就業時間内禁煙を実施し、毎月2回禁煙デーを設けています。
しかし完全敷地内禁煙には踏み切れずにいます。また、工場は下期から禁煙タイムや禁煙デーの導入を取り入れ始めたところです。ミズノさんの場合はいかがですか?
芦野
現在、当社の喫煙率は全社で19%ほどです。
2019年の1月から本社、営業所、店舗をすべて敷地内禁煙としました。工場の社員からは強い反発が予想されまして(笑)、1年時期を遅らせました。
敷地内禁煙を始めてから喫煙率は劇的に低下しました。惰性で吸っていた、やめ時を探していた人には良いきっかけになったようです。
時野谷
喫煙に加えて、当社では20〜30代の肥満率も気になっています。
芦野
同じです。特にミズノには、入社前まではすごく運動をしてすごく食べて… という生活をしてきた社員が比較的多いんです。しかし、入社後は学生時代ほどの運動量ではなくなり、食欲だけがそのまま継続され、気が付けば大変な状況に。若いうちから健康管理を行うことをこれから啓発していきたいなと考えています。
新入社員研修でも、「健康経営」、「健康管理」をテーマとして盛り込んで教育を行っているところです。ただ、若手社員には全く響かず 「響かなかったテーマTOP3」にいつも健康経営が入っていて、私は少しガッカリするのですが…。若いうちはまだリカバリーが効きやすいので、若手のうちにどれだけ健康を習慣化するかが非常に重要ですが、やっぱり難しいですよね。

スポーツの力を通じて
自分も周りも健康で幸せに

時野谷
最後に、コロナ禍で働き方も健康に対する意識も変化しています。健康経営は会社の価値向上、社員のウェルビーイングにどう貢献すると思いますか?
芦野
健康経営は会社と社員双方が幸せになるための考え方だと思います。一日24時間で睡眠を除いた大部分を占めるのが会社で働いている時間です。
この多くを占める会社生活で、いかに本人が健康に対して真剣に考えるか、行動を起こせるかが、充実した会社員時代を過ごすことにつながり、健康寿命の延伸にもつながっていきます。
社員がイキイキと働く会社は、生産性も上がるでしょうし、そこで働きたいと人が集まる会社にもなるのではないでしょうか。

Hitz × MIZUNO
健康に関する取り組み

日立造船株式会社 2014年:健康経営検討委員会始動 2020年:三野社長による健康経営宣言 2021年:健康経営優良法人2021 認定 2022年:健康経営優良法人2022 認定 2024年:健康経営優良法人 ホワイト500 認定を目標に取り組み中。ミズノ株式会社 20XX年:分科会などによる健康への取り組み 2016年:健康経営取り組み開始 水野社長による健康経営宣言 2017年:東京都スポーツ推進モデル企業に認定 2018年:健康経営優良法人ホワイト500認定 2019年:敷地内禁煙化※工場部門は2020年から 2020年:ウォーキングイベント開催 2022年:スポーツエールカンパニー ブロンズ+に認定、健康経営優良法人ホワイト500 5年連続認定