2004年04月01日
静岡市向けプラズマ式灰溶融施設完成
~灰溶融炉実績合計14件、プラズマ式灰溶融で3件目~
Hitz(日立造船株式会社)は、このほど静岡市向け灰溶融施設を完成しました。
本施設は、溶融炉内に正極と負極の2本のトーチを備え、両電極と溶融物間において高温のプラズマを発生させ、そのエネルギーによって灰を溶融する「プラズマ溶融方式」の溶融炉であり、市内2ヶ所の都市ごみ焼却施設から排出される焼却灰、焼却飛灰を処理するものです。処理後の溶融スラグは、土木建設資材等有効活用される予定です。
当社は、プラズマ式灰溶融炉に関しては平成6年より環境総合開発センター(京都府舞鶴市)にて実証を重ね、技術を確立しました。本施設に加え、可茂衛生施設組合向け(30t/日×2炉)、日立市向け(20t/日×2炉)、城南衛生管理組合向け(24t/日×2炉、建設中)に4件の受注実績があり、今回で3件目の納入となります。また、昭和52年より独自開発しました「バーナ式灰溶融システム」は、東京二十三区清掃一部事務組合大井清掃工場向け(90t/日×2炉)のほか、建設中も含め計8件の実績があり、「アーク式灰溶融システム」では建設中も含め2件の実績があります。このほか、分別収集した廃プラスチックや紙類を粉砕・燃焼させて焼却灰を溶融する「エコバーナー式灰溶融システム」も販売中であり、これら各種溶融システムに関しトップクラスの納入実績と幅広い製品メニューを揃えています。
本施設の特長は下記のとおりです。
1.プラズマの高温化による灰中のダイオキシン類の熱分解が可能であり、炉底電極のないツイントーチ方式にて、炉の立ち上げが容易であり、炉底電極の保守が不要です。
2.トーチ自体は黒鉛電極の採用により、消耗が少なくかつ高い熱効率が得られます。また、機械によるトーチの継ぎ足しにより連続運転が可能です。
3.溶融炉の炉床は円形かつ水平で、プラズマエネルギーを均等に配分できる構造となっています。炉体は傾動式となっており、周辺環境を悪化することなく溶融メタルを安全に排出可能です。また、水冷炉構造の採用により、耐火物および炉体の耐久性向上が図れます。
4.還元雰囲気の溶融炉と十分な容積の二次燃焼室の組み合わせにより、未燃ガスの完全燃焼とNOx抑制を図ります。
5.溶融炉排ガス出口とスラグ出滓口とを別に設けているため、排ガス中に揮散した重金属がスラグを汚染することなく、良質なスラグが得られます。
【概要】
施設名 | 静岡市沼上清掃工場灰溶融施設 |
所在地 | 静岡市南沼上1224番地 |
処理能力 | 120t/日(60t×2炉) |
処理方式 | プラズマ溶融方式 |
溶融対象物 | 清掃工場から排出される焼却灰、焼却飛灰 |
前処理設備 | 粒度選別、粗粒灰破砕、磁性物選別、アルミ選別、乾燥機 |
スラグ冷却方式 | 水冷式(水砕スラグ) |
排ガス処理方式 | ろ過式集じん機、触媒塔 |
着工 | 平成13年7月 |
竣工 | 平成16年3月 |
写真:静岡市沼上清掃工場灰溶融施設