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2014年10月07日

非可食性バイオマスを利用した耐衝撃性バイオポリマーを開発 ~従来バイオ素材では困難な耐衝撃性を実現~

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

日立造船株式会社

 

 NEDOのプロジェクトにおいて、日立造船(株)を主体とする産学連携グループは、非可食性バイオマスである木本植物の杜仲(トチュウバイオマス)が作り出すバイオトランスポリイソプレンから、耐衝撃性バイオポリマーの開発に成功しました。
 開発したバイオポリマーは単体として、代表的なバイオ素材であるポリ乳酸に比べ26倍の耐衝撃性を発揮。今後の国内成長分野である自動車産業、福祉(介護)用具産業、スポーツ産業向けのバイオ素材としての活用が期待されます。

 1.概要
 我が国の化学品の大半は石油由来の原料から製造(国内石油総消費量の約23%)されており、化学産業の炭酸ガス排出量は日本全体の約5%を占めています。地球温暖化問題を解決する手段のひとつとして、これら化学品製造の革新的イノベーションの実現が求められており、ゼロエミッション原料である非可食性バイオマスを利用した化学原料への転換が重要な課題となっています。
 NEDOと日立造船(株)、大阪大学等の産学連携グループは、非可食性バイオマスから最終化学品までの一貫製造プロセスを構築し、非可食性バイオマス原料への転換を図るためのプロジェクト※1を推進。今回、非可食性バイオマスである木本植物の杜仲(トチュウバイオマス)※2が作り出すバイオトランスポリイソプレン※3から、耐衝撃性バイオポリマーの開発に成功しました。
 開発したバイオポリマーは、単体として、代表的なバイオ素材であるポリ乳酸(標準品)と比較して26倍の耐衝撃性を発揮します。
これにより、今後の国内成長分野である自動車産業、福祉(介護)用具産業、スポーツ産業向けのバイオ素材としての活用が期待されます。
 今後は、非可食性バイオマスであるトチュウバイオマスから化学品までの一貫製造プロセス開発を更に進め、ベンチスケールによる精製プロセスの実証や出口戦略を見据えた開発として、バイオポリマーと石油由来化学品ポリマーを混合したブレンド材料や無機フィラー※4を用いた高強度複合材料などの付加価値の高い機能性素材の開発にも取り組んでいきます。
 これらの成果は、2014年10月15日(水)から17日(金)までパシフィコ横浜で開催される「BioJapan2014」、2014年11月12日(水)から14日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「グリーン・イノベーションEXPO2014」において発表します。

2.今回の成果
   耐衝撃性バイオポリマーの開発に成功
 トランスポリイソプレンはゴムやプラスチックのひとつであり、主に石油を原料に製造されます。50℃付近の低温で可塑性を示し、成型加工ができるほか、形状記憶プラスチックの原料になるなどユニークな性質を持っています。しかし現在、石油原料から化学触媒により作られたトランスポリイソプレンは、分子量分布が広く高分子量体のものの製造が難しいため、産業利用は広がっていません。一方、植物由来のトランスポリイソプレン(バイオトランスポリイソプレン)は、酵素反応により生成されるため、石油由来化学品に比べて高分子量であり、分子量も均一度が高い特徴を持ちます。このため分子構造は同じ化学品でありながら石油由来化学品とは全く異なる物性を示します。
 本事業では、このようなバイオトランスポリイソプレンの特徴に着目し、バイオトランスポリイソプレンの一貫製造プロセス開発を行うとともに、上記特徴を持つバイオトランスポリイソプレンを原料に分子間架橋を施すなどの技術開発を進めた結果、バイオ素材の代表であるポリ乳酸(標準品)と比較して26倍の性能を有する耐衝撃性バイオポリマーの開発に成功しました。
 用途としては、自動車産業、福祉(介護)用具産業、スポーツ産業など国内成長が期待される化学産業へのバイオポリマーの活用が期待されます。これによって、非可食性バイオマスを活用した化学品の一貫製造プロセスを確立するとともに、大気中の炭酸ガスをバイオマスにより固定し化学原料へ転換させることで、非石油、低炭素化社会の実現を目指します。

3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:森田、後藤 TEL:044-520-5220
日立造船株式会社 総務・人事部 広報グループ  担当:中尾、山本 TEL:06-6569-0013
             総務・人事部 東京・総務グループ(広報)  担当:永井 TEL:03-6404-0802
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:上坂、佐藤、坂本TEL:044-520-5151 E-Mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【用語解説】
※1 NEDOのプロジェクト
   名   称 :非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/
           非可食性バイオマスから化学品製造までの実用化技術の開発/
           植物イソプレノイド由来高機能バイオポリマーの開発
   期   間 : 2013~2016年度(最長)
   参加機関 : 日立造船(株)(共同研究:大阪大学、委託:キャスコ(株)、ウイスカ(株))

※2 杜仲(トチュウバイオマス)
 トチュウは地球上の栽培可能面積が最も広い温帯域で栽培が可能であり、植物体の全体にバイオトランスポリイソプレンが含まれています。100年程前に日本の植物学者の父と言われる牧野富太郎博士らにより硬質ゴムを含むバイオマスと紹介されています。

※3 バイオトランスポリイソプレン(トランス型1.4ポリイソプレン)
 バイオトランスポリイソプレンは植物が体内で合成する高分子化合物で、木本植物のトチュウは大気中のCO2を取り込んで生成します。トチュウ由来のトランスポリイソプレンは天然ゴムの主成分のシスポリイソプレンとよく似た化合物ですが、分子の立体構造の違いから硬質な化合物となっています(シスポリイソプレンは柔軟性を示します)。

※4 無機フィラー
 無機フィラーとは、ゴムや樹脂などの機能を高めるために充填する無機性の微粒子であり、これを充填することで強度や放熱性、各種耐性などを向上させることが可能となります。

 

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